実践ゲルマニュームラジオの製作
筆者 ラジオおじさん  JA8ATG  原  恒 夫



 

1 夢をあたえてくれた鉱石ラジオ

 鉱石ラジオは、私のラジオづくりに大きな夢を与えてくれました。私が小学校4年生の時に父と共に出かけた旭川のラジオやさんで始めて「鉱石ラジオ」に出会いました。私のラジオの教科書であった杉本哲先生の「初歩のラジオ」には、様々な回路の鉱石ラジオの作り方が載っていましたので、知識として「鉱石ラジオ」があることは知っていました。杉本先生の記事によると、戦前に東京で満州の放送が受信できたと言う記述がありました。私はどうしてこんな簡単なラジオで、何千里も離れた遠くの放送が聞こえたのか不思議に思っていました。
「よし、いつかは鉱石ラジオを作って遠くの放送を受信してやるぞ!」
と心に決めていました。初めての鉱石ラジオは、小さな木箱に入り、鉱石はパネルの前面にホルダーで取り付けられていました。レーシバーは別売で、両耳タイプのマグネッチクレシーバーでした。父がその鉱石ラジオを買ってくれると言うので、私の胸はドキドキと興奮しました。早速、ラジオ屋さんのアンテナを付けて聴かせてもらいました。私が本で読んで想像していたより、遙かに大きな音で音楽が聞こえました。
「聞こえるよ!」
父に言うと父も満足そうにしていました。その鉱石ラジオを大事に抱え、バスに乗り音江村菊丘の自宅に戻りました。
早速次の日の庭のサクランボの木に銅線を結びつけアンテナをはりました。しかし、放送局から100kmも離れているためか放送は全く受信出来ませんでした。そうしているうちに春が来て、我が家は幌加内町新富に引っ越しました。新しい土地でもアンテナをはり受信してみましたが、全く聞こえませんでした。
「よし、デカイアンテナを付けてみよう。」私は、雪の解けるのを待って大アンテナ計画を実行することにしました。雪の深いこの地方はなかなか解けず、5月の半ばになってやっと雪が解けました。私は、それまで集めておいた銅線という銅線を半田付けして100m以上の長さにつなぎ合わせました。そして、家のすぐ前にあった15mほどの木柱の国旗掲揚塔と家の近く100mほどの距離にあった火の見櫓までの間に大アンテナを上げました。国旗掲揚塔には、ロープがついていましたので簡単に上げることができました。しかし、火の見櫓は、天辺まで登らなければなりませんでした。やっとの思いで火の見櫓の天辺にアンテナ線をくくりつけました。地上に降りたときには膝頭がガクガクと震えていました。大アンテナが完成しました。
 早速この大アンテナを鉱石ラジオをにつけ、期待に胸をわくわくさせてバリコンを回してみました。しかし、全くなにも聞こえませんでした。
 このアンテナには、後日談があります。数日後に近所のおじさんが来て、
「つねちゃんがあの火の見櫓に登ったんだって。あの櫓の柱は腐って危険だから近々倒してしまうことにしてたんだ。」
私は、その話を聞いて身体が震えてしましました。おじさんの話のとおり、何日かした風の強い日、その火の見櫓は倒れていました。私は、登ってアンテナ線をはずす手間が省けました。

2 ゲルマニュームラジオの製作

 そんな鉱石ラジオのことを思い出しながらゲルマニュームラジオを作ってみました。。

コイル 簡単ですから手作りしましょう。バリコンの容量に合わせてコイルを巻きます。バリコンの容量が小さいとコイルの容量は大きくしなければなりません。放送波帯の最低受信周波数の540kHzを受信するためにディップメーターで実測してみました。手持ちのバリコンに合わせてコイルを巻いてみましょう。試作では、直径25mmのボビンに0.2mmのホルマル線を巻きました。

160pFのポリバリコン
巻き数 235回 540μH
  230pFのポリバリコン
巻き数 180回 350μH 
290pFのエアーバリコン
巻き数 135回 275μH 
430pFのエアーバリコン
105回 200μH

バリコン ポリバリコン、エアーバリコンいずれでもかまいません。コイルを沢山巻くのは手数ですから、親子バリコンの場合は並列接続にして容量を大きくしましょう。コンデンサーの並列つなぎは、足せばよいんでしたね。例えば、最大容量160pFと70pFの親子ポリバリコンは、 160+70=230pFになります。このように親子ポリバリコンを使いますと単連バリコンを使うより格安になります。 
 ポリバリコンシャフトの延長ですが、ちょっとした工夫を紹介します。市販の延長シャフトを使わない方法です。スペーサー(直径6mm、長さ8mm、プラスチック製)と2.6mm×10mmのビス(皿ビスが良いのですが)で合わせて10円以下の延長シャフトが作れます。

単連より親子バリコン(右)が安い ス-ペサーで延長シャフトを作る ご覧のとおりつまみが付きます

ダイオード  シリコンダイオードよりゲルマニュームダイオードの方が感度がよいそうです。熱に弱いので半田付けは手早くしましょう。

イヤーホン クリスタルイヤホーンが感度がよいのですが、もう市場に売っていません。現在通称「クリスタルイヤホーン」として売っているのは、セラミック製だそうです。


3 雑 感
 

 ひさしぶりにゲルマラジオを作ってみましたが、どうもセラミックイヤーホンは感度が悪く、昔のように大きな音で聞こえませんでした。でも「ラジオ少年」にとってゲルマラジオは、ノスタルジアを感じさせます。 このゲルマニュームラジオのキットは、WEB SHOP 「ラジオ少年」 http://www.radioboy.org で頒布しています。皆さんも作ってみませんか。